剣道指導者講習会「指導法」・「日本剣道形」開催報告

1 とき
「指導法」   令和3年10月30日(土)
「日本剣道形」 令和3年10月31日(日)
2 会場
   三条市体育文化会館(三条市新町2丁目)
3 受講対象者
「指導法」  段位制限無し ※各加盟団体における級位審査員は受講のお願い。
「日本剣道形」段位制限無し        
4 講師
・「指導法」  教士八段 山田義雄先生 教士七段 渡辺久雄先生
        教士七段 高嶋純一先生
・「日本剣道形」教士八段 山田義雄先生 教士八段 高橋直志先生
        教士七段 渡辺久雄先生 教士七段 高嶋純一先生

5 講習内容

 (1)「指導法」(1日目) ▷ 受講者59名
「木刀による剣道基本技稽古法」の理解を深め実践できるとともに、その活用方法を修得することを目標に午前は、山田講師による講話後、「指導法」実技木刀による剣道基本技稽古法、午後は剣道具を着装し竹刀による剣道基本技稽古法の実技行いました。その後、指導稽古、相互稽古で閉講となりました。

 (2)「日本剣道形」(2日目) ▷ 受講者116名
剣道の原点である剣の理法を学び、剣道の正しい普及発展に役立たせることと日本剣道形の修練により、指導者の資質向上を図ることをねらいとして、午前、午後とも「日本剣道形」実技を修練した。その後、全講師、受講された審査員の先生方が元に立ち、指導稽古・相互稽古で閉講となりました。

6 総評
 本年度もコロナ感染症拡大防止のため、各種大会、県予選会、昇段審会等が中止や延期となる中、公認審判員講習並びに本講習も多数の受講者を得まして開催できましたことは力強く感じております。
 第1日目の「指導法」(木刀による剣道基本技稽古法)にあっては、講師の一本一本丁寧で鮮やかな示範と解説により、受講者は真剣に取り組み、繰り返し繰り返し入念に修練し、時間が経つごとにその練度が上がってくるのが見られました。体育文化会館への一般来場者の大勢の方が興味深げに観覧席から観ておられました。他のスポーツと違い剣道は武道場等の小規模で稽古していることもあり一般の人達は剣道を目に触れる機会が少ないのではないか、もっと剣道をアピールする工夫も必要ではないかとおもいました。
 ご存知のとおり「木刀による剣道基本技稽古法」は基本技を修得させるため、「竹刀は日本刀」であるとの観念を基とし、木刀を使用して「刀法の原理・理合」「作法の規範」を理解させるとともに、適正な対人的技能を中心に技を精選し指導するものとして制定されたものであります。初心者等の習技者に対し木刀を使用し剣道を正しく体得させる指導の方法でもあります。日頃の稽古に取り入れ剣道のレベルを高めていただきたいと思います。
 2日目の「日本剣道形」は、山田講師の講話をいただきました。山田講師の日本剣道形に対しての実体感を話されました。自身(七段の頃)は形は好きでなかった。剣道九段範士中西先生(故人・広島)の形を間近に拝見し、その迫力と剣理に圧倒、感激して形の理解を深め、自身の剣道修行の基としたことを語り、剣道形がいかに重要かを諭しました。
 そして、正しいことを正しいように修得してもらいたいことや本講習の最後には「演武」ができるようにとの激を受け講習に入りました。午前・午後とも日本剣道形の修練を行い、受講者は指導者としてのレベルの向上に真剣に取り組みました。最後は数組の演武者による本講習の成果を披露していただき、実のある講習となりました。

  「日本剣道形」を正しく継承し、次代に伝承することは剣道人の使命と考えます。

  「刀法の原理」「攻防の理合」「作法の規範」「手の内の乱れ」「体の崩れ」「刃筋も無視した打突」を是正する教育のために制定されたとも言われています。日本剣道形、木刀による剣道基本技稽古法、そして竹刀稽古法を学ぶことにより、刀・木刀・竹刀のつながりが有効打突の理解を深めることとなります。
全剣連では、剣道を正しく普及するための指導の在り方について
・「剣道理念」「剣道修練の心構え」「剣道指導の心構え」を基盤にして指導を徹底する。
・「日本剣道形」「木刀による剣道基本技稽古法」「竹刀を使用しての稽古法」の位置づけとつながりを踏まえた各々の指導法の充実を図る。
・講師要員(指導法)の講習・研修を実施し、指導講師の養成を図る。等の方針となっています。これを受けて、新剣連においてもレベルアップ目指し指導者の資質の向上を図ることが急務であることから、本年度から6・7・8段及び称号の受審資格として明記し、本講習を行っているわけであります。
 剣道を良くするには、①「審判法」②「日本剣道形」③「指導法(木刀にる剣道基本技稽古法)」3本の柱の知識と実技を身に着けていただくことが求められます。それにより指導していただければ、幼少年剣士はじめ皆様の剣道が良くなることと確信しております。正しく剣道を学び生涯わたり剣道を親しでいただきたい願いでもあります。共に携え新剣連のさらなる資質の向上を祈念申し上げます。

7 その他(両日受講者の感想等 ♫ ) 

  • 2日間での講習では、講師先生の懇切丁寧な説明と熱意ある指導姿勢を目の当たりにして県内の剣道の質を高めたいとする意欲が講習生に伝わる講習会であったと思います。一方で「指導法」の参加者と「日本剣道形」では、圧倒的に後者の参加人数が多く、木刀による剣道基本技稽古法へのニーズが少ないことに一考を要するかとおもいまた。地域で子供達を指導する人の資質を高める上で両方の剣理を学ぶ事の重要性を改めて認識させていただきました。
  • 私どもは土曜日3名、日曜日4名で参加させていただきました。終了後、皆から感想を聞きましたが、皆が為になったと言っていました。特に日曜日の日本剣道形の細かい部分でのメリハリの付け方など、ご指導いただけて大変勉強になりました。日曜日は大勢でしたので、狭かったですが仕方ないですね。面を付けた稽古ですがもう少し稽古時間をいただければとおもいます。
  • 一本一本丁寧に説明、示範していただきました。修得し易い説明で納得させられました。楽しかった。
  • 剣道は、運動文化としての伝統と競技性のバランスを取りながら展開しています。勝利至上主義の風潮もあり、乱れているところもあり心配していました。剣道の基盤をなすのはやはり「形」ですよね。目から鱗。講師先生にお礼を申し上げます。
    等の貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

            審査・講習委員長 遠山正宣