と  き:令和5年4月9日(日)
会  場:謙信公武道館

剣道公認審判員講習会及び公認審判員認定審査会の報告  【上越会場】

4月9日(日)花冷えの晴天の元、令和5年度の審判講習会が上越市の県立謙信公武道館で受講生139名(うち公認審判員受審者9名)の参加を得て開催しました。大勢の先生方に受講いただきありがとうございました。
 講習会の趣旨は、「審判技術の向上を進め、講習内容の徹底と相まって我が国剣道の質的充実を図る」ことであります。全剣連の目指す剣道の方向性について理解し共有することを狙いとしていますので、今講習で得たものを大会の審判、稽古に浸透していただければと心から願っています。

 この度は、講師に剣道教士八段の山田義雄、高橋直志、吉田仁各先生を迎えての充実した開催となりました。特に吉田講師におかれては4月1日、2日の両日、全剣連中央講習会を受講され、その伝達を軸に講習を進められました。「新型コナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合・審判法」について更に深くご理解いただけたものと思います。

 剣道の試合・審判規則は、剣道の特性や教育的な意義を考慮しながら、社会の一般的な通念や普遍性などを基盤にし、これを試合の場面に適応させて構成したものです。従って、審判は第1条(本規則の目的)を基本にして、試合・審判の諸条件や手続きに従い措置することとなります。「審判の目的」「審判員の任務」「審判員の心得」等を嚙締めて試合・審判規則第12条の諸条件を満たした有効打突の一本こそが剣道の特性であり生命でもあります。

この剣道の特性を継承させていくためにも、審判員は有効打突を正しく判定しなければなりません。しかし、有効打突の見極めが曖昧・軽率であった場合には、有効打突としての一本の質的価値や剣道の特性を見落とすことになります。審判員は、有効打突の判定の重大さをより強く認識しなければなりません。
 「玄妙な技を見落とさない」「安易に相打ちで済まさせない」等の高度の審判が求められます。「残心の解釈と見極め」「規則の解釈と運用」に精通し適確性があること、さらに「つばぜり合い」については、特に「新型コロナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合・審判法」を適確に運用していただきたい。有効打突一本の見極めには「審判員の位置取りと対応の仕方」が必然であります。試合者の動きに合わせて、三人の連携やバランスを保ち、臨機応変に一番見易い位置を確保することです。経験と反省、他者からのアドバイス等を活かし研鑽に努め、審判の技能向上を図って、試合者が感得する審判をしていただきたいと願っています。

午前中は小学生、中学生及び高校生の試合における審判員の技能の向上を狙いとして、小・中及び高校生の模擬試合を実施しました。少年剣士特有の躍動する動きと打突の強弱ありの試合が展開され、それを審判する先生方は真剣そのもので実技技能が向上してゆくのをまのあたりにしました。午後は全員で審判実技を行った後、質疑応答及び合同・指導稽古で〆て閉会となりました。「試合・審判」について少年剣士共々共通理解をしていただいたことは、とても意義あるものでした。

 公認審査員認定審査会につきましては、9名の受審者で全員合格でした。合格された先生方は、更なる審判の技能向上を図り、各種大会に活かしていただきたいと切に願います。結びとして、この度の講習にあたり主管戴いた上越市剣道連盟の先生方には細部に渡り安心して受講できる環境を整えていただきました。おかげさまで運営も的確な講習となり、所期の成果を得ることが出来ました。また、模擬試合をしていただいた少年剣士、受講者の方々にも合わせて心からお礼を申し上げます。少年剣士らからは「良かった」というお言葉と笑顔を戴きましたことをお伝えして報告とします。

   審査・講習委員長   遠山正宣