〇日 時 令和7年 4月20日(日) 9:00~16:00
〇会 場 亀田アスパーク
〇講 師
教士八段 山田 義雄 先生 教士八段 高橋 直志先生
教士八段 吉田 仁 先生
〇受審者数 六段受審者 17名 ・ 七段受審者 31名 ・八段受審者 37名
【令和7年度 六・七・八段受審者講習会 講評】
六・七・八段受審者講習会を終えて
令和7年4月20日
令和7年度の六・七・八段受審者講習会を亀田総合体育館において行いました。六段受審者17名、七段受審者31名、八段受審者37名の参加を頂きました。
終日講習者同士の立合いを行い山田講師、高橋講師よりアドバイスを頂き、最後に指導稽古で終了しました。受講される皆さんの技量が毎年高
くなっているのは日々のご努力の賜物であると思います。さらに本講習会で学ばれたことを生かして自己研鑽に励んで頂きたいと思います。
参加頂いた皆さんのご昇段を心よりお祈り致します。
開催にあたりご尽力頂きました亀田剣道連盟、新潟市剣道連盟ならびに新潟県剣道連盟の諸先生方に心より御礼申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
審査・講習委員長 吉田 仁
『山田義雄先生 講話記録』
(2025.4.20 六七八段受審者講習会 亀田総合体育館) 文責 中村茂樹
1. 【講話】
新潟県八段合格者の歴史(近年のみ、敬称略)1995高橋 廣士 2008.5佐藤 伸 2009.5白井 吉満 2009.11渡辺 幹雄
2010.11山田 義雄 2018.5高橋 直志 2022.5吉田 仁
誰かが突破口を開くとその後が続く。今回すでに3年経過しているが、受審者の取り組み方に問題はないだろうか。八段審査の低い合格率は、
八段がそれほど難しく価値あるものであることの証左である。
【心がまえ、着装について】
審査はなぜか嫌な相手と当たるものだが、それに負けてはいけない、むしろチャンスと思え。
審査会に行くのは結婚式に呼ばれて行くようなもの。身なりをきちんと整えて行く。受審者講習会にも審査本番と同じ着装で臨む、
そういう心構えが必要。
【1次(審査)と2次(審査)】
2次を見ると剣道の素晴らしさが分かる。自分(山田先生)は2次を見て剣道の素晴らしさを知り、これはただ事ではない、ぜひあの舞台に
立ちたいと思うようになった。
1次通過はチャンスであり、来たチャンスはものにする事が大切。
1次合格してから2次までの時間は長く、自分は8時間も待たされた。その過ごし方は大切だが、瞑想する人、着替えてリラックスする人、
人それぞれである。そして2次はおかれた精神状態が違う。神がからないと2次は突破できない。
【不合格とその後の稽古】
1次、2次、それぞれなぜ不合格だったか。よく反省して、その後の稽古につなげているだろうか。
【稽古のあり方】
質の高い稽古をしなさい。良い稽古から遠ざからないように、良い稽古を見る、良い先生から指導を受ける、そのためにはどこでも求めていく。
自分は熊本まで求めて行った。
有効打突にこだわりすぎて、前後がおろそかになる人が9割。
◎:打突前: 攻めて、動かして、出ばなを狙う
◎:打突後: 見せ場を作れない人が多い。(例)せっかく当たっているのに途中で止めてしまう。打って余勢の後、振り返りの位置が遠すぎて
間が抜ける。後ろ頭に目をつけて縁を切らない。攻めが感じられる間合いで振り返る。
「手クセ3年足クセ5年」普段から自分の立ち合いのビデオを活用して、自分の悪いクセを直す。
長い稽古は打ち合いになり、打たれると取り返そうとして形が崩れる。短い稽古で立ち合いのようにやるのが良い。
【発声、間合い、攻め】
発声は触刃で、ヤーに対して言霊のようにヤーと響き返す。一足一刀ではまだ不十分で外れる、そこから少し入った所が打ち間。
相手が「攻められている」と思うのが攻め。
【禁 忌】
ピクッと手元が動いたら昔はそれで終わりと言われた。空振り(届かない)、抜かれる、返されるもそれで終了。
しかし諦めてはいけない。2人目で修正すれば、まだ見てくれるかもしれない。
【評 価】
自己評価の方が実力より高い人がほとんどである。だから厳しい事を言ってくれる仲間が大切である。八段を目指す七段同士なら
そういう関係になれる。評価は誰がするか、考えて下さい。稽古では相手がする、審査では審査員がする。どちらの場合も自分ではない。
皆さん能力はある。それをどうやって生かすかが問題だ。
2. 【八段合格レベルのメンとは】(高嶋先生、鈴木先生、伊藤先生による示範)
3. 【八段模擬審査会場での講評から】(山田義雄先生)
◎相手を遣うことができれば、一本でなくても評価は高い。◎立ち合い中は“ in play ”、打って休むのはダメ、縁が切れるのもダメ。
◎良い技を複数持ったら、次はそれを立ち合いの中で組み立てる力を身につけなさい。
◎たとえ有効打突でも、打ったり打たれたりでは「帳消し」になる。
◎2本打ちは2本目が軽くなるのでよくない。
◎一本の質を上げるともっと見栄えする。重厚感のあるメンがほしい。刀
◎自分から打っていって返されるのはダメ、攻めて相手の出ばなをバクッと打つのはヨシ
◎相手が来るように仕向け、来たところを捌く、また仕留めるのは価値がある
★:『八段受審者の講習会参加感想』お名前は匿名にて
今回の講習会では、同じ昇段を目指す先生方が沢山参加され、お互いに切磋琢磨できるということを大変嬉しく感じました。
山田先生よりご自身の審査経験を交え、昇段のポイントの講話を頂きました。
審査員の心を動かす立ち会い、攻めながらの出頭の打突、空振りにならない、自分が確実に打てる『一足一刀』の間合いを
確立することなど、一言一言が心に響き大変勉強になりました。模擬審査ではご指導を頂いた様にはいかず落ち込みましたが、
少しづつでも心を動かす立ち合いが出来る様に、努力して行きたいと思います。ご指導有難うございました。